道交法改正でルールはどう変わる?自転車運転者が気をつけるべきポイントを解説
こんにちは、コテツです。
車はマニュアル派ですが自転車にも乗ります。
火野正平さんの「にっぽん縦断 こころ旅」の大ファンでした(ファンじゃない日本人はいるのか)。
2026年の道交法改正を受けて、自転車の未来が取り沙汰されるようになっています。今でさえ、「車道と歩道どっちが正解?」と自問自答しつつ綱渡り的人生いや車生を送っているこころ旅ファンとしては前途多難。
同じ思いのこころ旅ファンの皆さんのために、道交法改正で変わるルールの内容・安全運転対策を中心に本音を交えて詳しく解説します。
道交法改正の概要と背景
2026年4月1日から施行される道路交通法の改正は、自転車運転者にとって大きな影響を与えるものです。
これまでの法律では自転車に関する規定が不十分であったため、事故が多発していました。
新しい法律は、これらの問題を解決するために策定されました。自転車の利用者が増える中で、交通安全を確保するための重要なステップといえるでしょう。
新しい道路交通法の施行日
2026年の道路交通法改正は、主に2026年4月1日から自転車への「青切符」制度導入(違反者への反則金適用)と、2026年9月1日から生活道路の法定速度引き下げ(30km/h)が施行されます。
自転車関連の改正は4月1日、自動車の生活道路の速度規制は9月1日と、時期が分かれていますので注意しましょう。
改正の目的と背景
道路交通法改正の主な目的は、道路における危険を防止し、交通の安全と円滑を図ることです。
近年(特に2023年以降)の改正は、主に高齢運転者による事故の増加・技術の進歩・多様化する交通手段への対応といった具体的な社会情勢の変化を背景としています。
具体的な目的と背景は以下のとおりです。
<高齢運転者による交通事故防止>
〇背景: 75歳以上の運転者による死亡事故のうち、ブレーキとアクセルの踏み間違いが75歳未満の約7倍に上るなど、加齢に伴う身体機能や認知機能の変化による特有のリスクが社会問題となっています。
〇目的: 高齢運転者による重大事故を防ぐため、運転技能検査(実車試験)の導入や運転免許証の自主返納を促すための支援措置の拡充などが行われています。
<新技術(自動運転)への対応>
〇背景: 自動運転技術の開発・実用化が進み、公道での運行を可能にするための法整備が必要となりました。
〇目的: 安全性を確保しつつ、自動運転レベル4(特定条件下での完全自動運転)の移動サービスなどを可能にすることで、新しい交通システムの導入と社会実装を推進しています。
<自転車の交通秩序の確立および安全確保>
〇背景: 自転車が関係する交通事故が増加し、歩道通行の常態化などにより交通秩序が乱れていたことが挙げられます。また「ながらスマホ」や酒気帯び運転といった危険行為が問題視されています。
〇目的: 自転車は「車両」であるという意識を徹底させ、交通ルールを明確化しました。具体的には、自転車運転者講習制度の対象となる危険行為を拡大し、罰則を強化することで、自転車利用者の安全意識向上と事故防止を図っています。
自転車運転者への影響
2024年11月施行の道路交通法改正では、自転車運転中の「ながらスマホ」(注視・通話)への罰則が強化されました。
「酒気帯び運転」が新たに罰則対象となり、運転者だけでなく酒類提供者等にも罰則が科されたことは記憶に新しいところです。
さらに、2026年4月からは自転車にも「青切符」が導入されます。信号無視や一時不停止などの悪質な違反に反則金が適用されるなど、自転車の交通ルールが厳しくなることを肝に銘じておかねばなりません。
道路交通法の全体像
2026年の道路交通法改正の全体像は、生活道路の法定速度を時速30kmに引き下げ、自転車への「青切符(反則金制度)」を本格導入し、自動車と自転車の側方通過ルールを強化することで、交通事故の削減と歩行者・自転車の安全確保を目指すものです。特に「自転車だから」という甘えが通用しなくなり、「ながらスマホ」や信号無視などに反則金が科され、実効的な取り締まりが強化される点が大きな変化だといえます。 主な改正ポイントは次のとおりです。
▶生活道路の速度制限の引き下げ
・内容: センターラインのない幅5.5m未満の「生活道路」の法定速度が、現行の60km/hから30km/hに引き下げられる
・目的: 児童や高齢者の多い生活道路での事故防止が目的で、ゾーン30(30km/h規制)の考え方を全国的に適用
▶自転車への「青切符(交通反則通告制度)」導入
・内容: 信号無視、傘差し運転、ながらスマホなど、自転車の軽微な違反に反則金が科されるようになる(2026年4月施行)
・対象: 16歳以上の自転車利用者が対象
・影響: これまで注意で済まされていた行為にも実質的な罰則(数千円〜)が適用され、悪質な場合は赤切符(刑事罰)に移行する可能性もある
▶自動車と自転車の側方通過ルール強化
内容: 自動車が自転車(特定小型原動機付自転車含む)の右側を追い越す際、十分な安全な間隔が取れない場合は、減速または一時停止が義務付けられる
自転車運転者が気をつけるべき新ルール
改正後の道路交通法では、自転車運転者が特に注意すべき新ルールがいくつかあります。
これらのルールを知らないままだと、いきなり違反を指摘され罰金を科されるという、まさに青天の霹靂です。自分自身だけでなく、他者の安全も守ることができます。詳しく見ていきましょう。
自転車への青切符の導入の背景
警察庁交通局は、自転車に青切符を導入した事情について「自転車ルールブック」のなかで次のように述べています。
| 交通反則通告制度は、いわゆる「青切符」制度とも言われ、自動車の交通違反の際に広く行われている違反処理の方法ですが、今までは自転車には導入されていませんでした。これまで、自転車の交通違反が検挙されると、いわゆる「赤切符」等を用いた刑事手続による処理が行われ、警察による捜査を経て、検察官が起訴・不起訴の判断を行い、起訴されると裁判を受けることになっていました。その結果、有罪となると、罰金を納付するなどする必要があり、いわゆる「前科」がつくことになりました。こうした刑事手続による処理は、青切符が導入されている自動車の違反処理と比べ、時間的・手続的な負担(例:取締り時の書類作成、取調べのための出頭)が大きいことや、検察に送致されても不起訴とされ、実態として違反者に対する責任追及が不十分であることが指摘されていました。 |
つまり、これまでの自転車への取締りで「赤切符」を切る場合、自動車と比べて手続きが煩雑であるにもかかわらず結局不起訴になってしまうという問題点があったということです。
そこで青切符の登場となりました。以下、ルールブックからの引用です。
| 自転車も車両の仲間として、交通ルールの遵守を図るため、16歳以上の者による自転車の一定の交通違反に対して、青切符を導入することとなりました。自転車への青切符の導入により、自動車と同様に、手続的な負担を軽減するとともに、違反者に前科がつくことをなくしつつ、実効性のある責任追及が可能となります。今後、違反の実情に即して、自転車の一層の安全な利用のための指導警告や、青切符、赤切符等による処理が行われます。 |
青切符導入後も、 自転車の交通違反に対しては基本的に「指導警告」が行われます。ただし、交通事故の原因となるような、「悪質・危険な違反」は検挙の対象になるということです。
交通違反の指導取締りについての基本的な考え方は変わりませんが、検挙後の手続きは変わることになります。
歩道通行の新規定:いつから禁止?
自転車の「危険な歩道通行」は2026年4月1日から「青切符(反則金制度)」の対象となり、反則金6,000円が科される予定です。
ただし、単に歩道を通行しただけでは指導警告ですみます。歩道通行自体が即座に禁止されるわけではなく、「歩行者優先」の原則を守り、いつでも止まれる速度(徐行)で走行することが必須です。
「高速度走行」「歩行者妨害」など悪質・危険なケースが対象で、歩行者優先の徐行義務はこれまでどおり徹底されます。
青切符対象となる違反行為
2026年4月1日から、16歳以上の自転車運転者に対し信号無視・一時不停止・右側通行(逆走)・ながらスマホなど、重大な事故につながりやすい約113種類の違反行為が「青切符」(交通反則通告制度)の対象となり反則金が科されます。
酒酔い運転や悪質な妨害運転などはこれまで通り刑事罰の対象です。違反すると反則金を支払うことで刑事罰を避けられますが、納付しない場合は刑事手続きに進む可能性があります。
主な青切符対象違反行為は次のとおりです。
◇信号無視
◇指定場所一時不停止(一時停止無視)
◇右側通行(逆走)
◇ながらスマホ(携帯電話使用、画面注視)
◇傘差し運転
◇イヤホン・ヘッドホンでの音楽聴取(大音量など)
◇通行禁止違反
◇歩道通行時の歩行者の通行妨害(徐行違反など)
◇制動装置(ブレーキ)不良自転車運転
◇安全運転義務違反(前方不注意など)
◇妨害運転(危険行為)
ながらスマホ運転の厳罰化
2026年4月からは、自転車の「ながらスマホ」運転は青切符(反則切符)制度の対象です。
反則金12,000円が科されるなど、罰則が強化されます。
これは2024年11月の法改正(罰則強化)を基に、2026年4月から反則金制度が本格導入される流れです。
スマホを見ながらの通話や画面注視が禁止されます。交通の危険を生じさせると赤切符(罰金・懲役)の対象にもなり、イヤホン使用も注意が必要です。
罰則と反則金の新制度
2026年4月1日から施行される改正道路交通法により、16歳以上の自転車運転者に対し、自動車などと同様の「交通反則通告制度」(青切符)が導入されます。
これまで指導・警告にとどまることが多かった違反に対し、行政処分である「反則金」が課せられるということです。
交通違反の青切符・赤切符とは?
青切符・赤切符の主な違いは、違反の悪質性と処分の重さです。
青切符(交通反則告知書)とは軽微な違反で反則金を払えば刑事罰を回避できるものをいいます。
これに対して、赤切符(告知票・免許証保管証)は重大な違反で刑事裁判になり罰金・懲役刑や前科がつく可能性があるものです。
赤切符の対象は、飲酒運転・大幅なスピード違反(30km/h以上など)・無免許運転などで、免許停止や取り消しにもつながります。
自転車の赤切符
自転車の「赤切符」(悪質な違反に対する呼び出し・罰則)は2022年10月から悪質な違反者向けに運用が強化されています。
2026年4月1日からは一般違反者にも「青切符」による反則金制度が導入され、いよいよ本格的に罰則が適用されます。つまり、これまでは指導・警告が主でしたが、今後は悪質な場合は赤切符(検察庁への呼び出し)、より多くの違反で青切符(反則金)が科されるようになります。
今までお目こぼしがあった感のある自転車にも、重大な違反にはより厳格に赤切符が切られ、軽微な違反であっても青切符で反則金を払わなければならなくなるでしょう。
2026年から変わる罰金・反則金一覧
主な違反と反則金は次のとおりです。
▶携帯電話使用等(保持・注視): 12,000円(最高額)
▶信号無視: 6,000円
▶通行区分違反(危険な歩道通行・逆走など): 6,000円
▶指定場所一時不停止等(一時停止無視): 5,000円
▶無灯火: 5,000円
▶制動装置不良(ブレーキ不良): 5,000円
▶公安委員会遵守事項違反(傘差し・イヤホン使用など): 5,000円(都道府県による)
▶遮断踏切立入り: 7,000円
▶軽車両乗車積載違反(二人乗りなど): 3,000円
自転車事故防止のための安全運転
自転車事故防止のための安全運転は、「自転車は車道が原則、歩道は例外」「車道は左側通行」「歩道は歩行者優先で徐行」「信号・一時停止・ライト点灯などの交通ルール遵守」「ヘルメット着用」の自転車安全利用五則を守ることが基本です。
特に、「止まれ」での一時停止と左右確認・夜間ライト点灯・見通しの悪い生活道路での飛び出し注意などが重要です。
安全運転の基本:運転中の注意点
▶車道が原則、左側通行:歩道は歩行者優先。車道が危険な場合でも、歩道では歩行者の通行を妨げないように。
▶信号と一時停止:信号を守り、一時停止標識のある場所では必ず停止。標識がなくても交差点では左右の安全確認を。
▶夜間はライト点灯・早めにライトを点灯し、無灯火運転は絶対にしない。
▶ながら運転禁止: スマートフォンを見ながら、イヤホンで音楽を聴きながらの運転はしない(周囲の音が聞こえず危険)。
▶飲酒運転禁止:飲酒運転は絶対にしない。
▶ヘルメット着用:転倒時の頭部保護のため、正しく着用する。
▶服装: 裾がチェーンに巻き込まれない服装。
▶車とのすれ違い:車の横を通過する際は、間隔を空けて徐行する。
夜間走行時の注意:ライト点灯の重要性
自転車事故防止のため夜間走行ではライト点灯が法律で義務付けられています。
前方を照らして障害物を確認するだけでなく、車や歩行者に自転車の存在を知らせる(視認性向上)ことが最も重要です。
特に夕暮れ時は早めに点灯し、オートライトに頼らず自分でも意識すること、さらに反射材の併用や明るい服装で、自転車と自分の安全を守りましょう。
交通事故の実態と防止策
<自転車事故の実態>
〇原因: 交差点での出合い頭衝突が最も多く、安全確認不足(一時停止違反・信号無視・スマホ操作など)が主な原因です。
〇加害者責任: 事故で相手にケガをさせたり死亡させたりした場合、高額な賠償金を請求されることがあります(自転車は軽車両扱い)。
〇違反: 若年層は「一時不停止」「信号無視」、高齢者層は「ハンドル操作ミス」などに注意が必要です。
<自転車利用者側の防止策>
〇車道が原則、左側を通行:歩道は例外(歩行者優先)
〇差点は信号と一時停止を守り、安全確認
〇夜間はライトを点灯
〇飲酒運転は禁止
〇ヘルメットを着用
〇ながら運転をしない
運転者の義務:安全の確保
自転車事故を起こした場合、運転者には負傷者の救護と二次災害防止のための安全確保(道路交通法72条)、警察への通報と報告が義務付けられてることを知っておきましょう。
これらを怠ると刑事罰や行政処分の対象になる他、保険金が受け取れなくなるリスクも生じます。
具体的には、けが人がいれば救急車を呼び、車や自転車は安全な場所へ移動させ、必ず警察に連絡し、相手の連絡先を確認して、保険会社へ連絡することが重要です。
道交法改正後の自転車利用は一層の自覚が必要
2026年4月1日から施行される道路交通法の改正は、自転車運転者にとって大きな影響を与えるものです。
従来の法律では自転車に関する規定が不十分であったため、新しい法律が策定されました。新しい法律では、自転車運転者が犯した軽微な交通違反に対して青切符が適用されます。
飲酒運転や無免許運転など重大な違反に対してはこれまでどおり赤切符が発行され、より重い罰則が適用されます。
横断歩道の渡り方一つにしても、ある時は歩行者、ある時は車両という曖昧な位置づけで自転車に乗っている人も少なくありません。
この改正をきっかけに「自転車は『歩行者』ではなく『車両(軽車両)』である」ことを念頭に置いて、安全第一の運転を心がけましょう。
「こころ旅」での正平さんの手信号を使った軽やかな右左折を思い出します。

