こんにちは、コテツです。
腰に手を当ててコーヒー牛乳もしくはフルーツ牛乳を飲む、湯上りの銭湯。
あんなに甘ったるい飲み物が大人になってもなぜ美味しいのか、銭湯にビールがないからなのか、真偽のほどはわかりません。
屋台でシメにラーメン、しかも時々白ご飯も食べたくなる理由は、化学の講義で知りましたが、湯上り+甘い飲み物法則についても誰か教えてください。
ただ、これは何でもそろっているスーパー銭湯ではなく昔ながらの銭湯での話です。
番台のおばちゃんが小さなピックで蓋を開けてくれて、脱衣場が狭いので自然と立ったままでそしてなぜか「腰に手を当てて・・・(以下同じ)」
ところがこんな甘い郷愁に満ちた昔ながらの銭湯が急速に消えつつあります。
スーパー銭湯の台頭と後継者不足に加えて、燃料高騰のあおりを受け、減少の一途です。
「日本秘湯を守る会」はあっても銭湯を守る会はありません。
秘湯にも銭湯にも大変お世話になりました。
そこで、温泉サブスク番外編として、昔ながらの銭湯の魅力とその探し方を詳しくご紹介する記事を書きます。
銭湯の魅力を再発見しよう!
銭湯は、ただの入浴施設ではありません。
昔ながらの銭湯は、地域のコミュニティの中心です。
銭湯には独特の文化や雰囲気が息づいており、訪れる人々に温かい交流の場を提供してくれます。
昔ながらの銭湯がもつ独特の文化とは?
昔ながらの銭湯がもつ独特の文化について見ていきましょう。
宮造り建築

宮造り建築の銭湯は数こそ少ないものの東京を中心に全国に残っています。
宮造り建築とは、 神社仏閣を思わせるような、唐破風(からはふ)の屋根を持つ荘厳な建築様式のことです。
関東大震災後に宮大工の技術が銭湯建築に応用されるようになり、各地に広まっていきました。
なぜ銭湯に宮大工?
これには由来があります。
関東大震災で多くの建物が倒壊した東京で、復興のシンボルとなったのが再建中だった歌舞伎座です。
震災後に竣工した歌舞伎座は、鉄筋コンクリート造りで桃山風の豪華な外観。
華々しい歌舞伎座の雄姿は、焼け野原となった東京に活気をもたらす復興のシンボルとなりました。
これに触発された宮大工の技術を持つ銭湯専門の大工が、歌舞伎座を参考に「歌舞伎湯」という名前の銭湯を建てたことが始まりとされています。
がれきの街となった東京で、多くの銭湯が歌舞伎座のような豪華な寺社風建築を取り入れて造られました。
何もかも失った人々にとって、宮造りの銭湯は、日々の疲れをいやすだけではなく非日常の空間を提供してくれる特別な場所だったにちがいありません。
富士山のペンキ絵

銭湯に富士山のペンキ絵が描かれるようになったのは、1912年(大正元年)の東京「キカイ湯」が始まりとされています。
壁画の依頼を受けたのが静岡県出身の画家川越広四郎(かわごえ こうしろう)氏です。だから富士山なのですね。
この富士山の絵が評判に評判を呼び、壁画の富士山は銭湯文化として広まっていきました。
2025年現在、銭湯ペンキ絵師として活躍が知られているのは、丸山清人(まるやま きよと)さん、中島盛夫(なかじま もりお)さん、そして田中みずき(たなか みずき)さんのお三方です。
ペンキ絵は銭湯の休業日に描くため、通常は1日で仕上げなければなりません。
昔ながらのレトロな設備

昔ながらの銭湯を代表するのは、なんといっても番台!
男湯も女湯も関係なく番台は一つ。
番台に座っているのはおばちゃんとは限りません。
江戸時代の混浴の名残でしょうか、なんとも寛容な銭湯文化です。
また、籐(とう)で編まれた脱衣かご、木札の下足箱、柱時計など、昔ながらの設備が残り、懐かしさを感じさせます。
昔ながらの入浴の慣習とマナー
昔ながらの銭湯では、共同浴場ならではの慣習・マナーが大切にされてきました。
自宅に内風呂がなかった時代には、家族みんなで銭湯へ行くのが日常。
子どもたちにとっては、お風呂のマナーを学ぶ場でもありました。
①湯船を清潔に保つため、湯船につかる前に掛け湯をして体を洗う
②長い髪は束ねて入る
③湯船にタオルを入れない
④浴室内では静かにする
⑤使用した桶や椅子は元に戻す
⑥上がり湯をする
⑦脱衣所に戻る前に小さめのタオルで体の水分を拭き取る
⑥の上がり湯は温泉ではしませんが、温泉ではない銭湯の場合は慣習として最後にきれいなお湯をかけます。
温泉と銭湯の違い
温泉は、地下から湧き出る特定の基準を満たした天然の湯のことです。
銭湯は、水道水などを沸かして利用する公衆浴場を指します。
温泉の湯を使った「温泉銭湯」も珍しくありません。
鹿児島の銭湯の多くは、天然温泉を利用しています。
「温泉王国」鹿児島は火山活動に由来する豊かな温泉が豊富に湧き出ているため、銭湯も天然温泉が一般的です。
地域別昔ながらの銭湯スポットガイド
日本各地には、昔ながらの銭湯が点在しています。
地域ごとに異なる雰囲気や特徴を持つ銭湯を訪れるのは日本ならではの楽しみです。
ここでは、特におすすめの地域別銭湯スポットを紹介します。
機会があればどうぞ訪ねてみてください。
東京で見つける!宮造り建築の銭湯
東京は、宮造り建築の銭湯発祥の地!
昔ながらの風情が感じられる宮造りの銭湯が数多く営業しています。
代表的な宮造り建築の銭湯をいくつかご紹介しましょう。
明神湯(大田区)
1957年創業の歴史ある銭湯です。浴場内には、丸山清人氏が描いた鮮やかな富士山の絵があります。地下から湧き出る天然の地下水を沸かして使用しています。毎日内容が変わる薬湯も用意されており、さまざまな入浴を楽しめます。
アクセス | 東急池上線「雪が谷大塚」駅よりバス。「雪谷中学前」下車、徒歩1分東急池上線「雪が谷大塚」駅より徒歩14分 |
定休日 | 5、15、25日 |
営業時間 | 16:00~22:00 |
小杉湯(杉並区)
国の登録有形文化財にも指定されている、歴史ある宮造り建築です。全ての浴槽に地下水から作られた「自然回帰水」を使用しています。イベント・ワークショップ・近隣店舗との提携を通して銭湯の魅力を発信している現代的な銭湯です。
アクセス | 中央線「高円寺」駅下車、徒歩5分 |
定休日 | 木曜 |
営業時間 | 平日14:00~25:30、土・日・祝日は朝8:00~25:30 |
深川温泉 常盤湯(江東区)
常盤湯(ときわゆ)は、伝統的な宮造りの建物は残したまま、2023年3月に全面的にリニューアルしました。新たに掘削した天然温泉と、肌に優しい高純度の軟水が楽しめます。最新設備と江戸時代から続く風情ある雰囲気の両方を楽しめる銭湯です。
アクセス | 中央線「高円寺」駅下車、徒歩5分 |
定休日 | 木曜 |
営業時間 | 平日14:00~25:30、土・日・祝日は朝8:00~25:30 |
燕湯(台東区)
燕湯(つばめゆ)は、登録有形文化財に指定されている銭湯建築、朝6時から営業する熱い源泉に近い湯温、そして浴室を彩る富士山の溶岩を使った岩風呂と壁のペンキ絵で知られています。昔ながらの風情が色濃く残り、古き良き昭和の懐かしい雰囲気に浸ることができます。
アクセス | 山手線「御徒町」駅下車、徒歩4分 |
定休日 | 月曜、火曜 |
営業時間 | 6:00~20:00 |
埼玉のおすすめレトロ銭湯
埼玉に残る銭湯は、30軒足らずです。
貴重な昔ながらの銭湯の中からアイウエオ順にいくつかご紹介します。
鹿島湯(かしまゆ)
浦和にある銭湯「鹿島湯」は、薪を燃料とした井戸水の遠赤外線効果による肌に優しいお湯です。「浦和」にありながら「鹿島」という話題性でも人気を集めています。
「鹿島湯は電気・ガス・水道が止まっても、お湯を沸かすことができる数少ない銭湯。万が一災害が起こったときでも、地域の人たちが集まれる場所になれればという思いで続けています」(事業承継ストーリーより)とは、3代目の坂下さんの言葉。
住所 | 埼玉県 さいたま市 南区別所3丁目3−10 |
アクセス | JR浦和駅から徒歩18分 浦和駅西口からバス、県庁前バス停徒歩5分・東の台バス停徒歩4分。 JR中浦和駅から徒歩14分 |
定休日 | 水曜日, 木曜日 |
営業時間 | 15:00〜22:00 |
喜楽湯(きらくゆ)
1950年代からの歴史を持ち、井戸水と薪で沸かしたお風呂が特徴です。スーパージェット風呂・寝風呂・ジャグジー風呂などの現代的な設備も備えています。
住所 | 埼玉県 川口市 川口5-21-6 |
アクセス | JR京浜東北線「川口駅」西口と、隣の「西川口駅」西口からそれぞれ徒歩12分 埼玉高速鉄道「川口元郷駅」から徒歩30分 |
定休日 | 金曜日 |
営業時間 | 15:00〜23:00 |
鈴の湯(すずのゆ)
地元の人々に親しまれている、平日の夕方でもにぎわう銭湯です。
住所 | 埼玉県さいたま市中央区本町東1-7-3 |
アクセス | 電車: JR埼京線「与野本町駅」から徒歩4分バス: 「与野西中学校バス停」から徒歩1分車: 首都高速埼玉大宮線「浦和北IC」から約1km |
定休日 | 日曜日、月曜日 |
営業時間 | 15:30~21:30 |
冨美の湯(ふみのゆ)
遠赤外線サウナ・軟水の浴槽・庭園を望む外気浴スペースが人気の、地域に根差した銭湯です。
住所 | 埼玉県 さいたま市 南区太田窪2938 |
アクセス | 寄り駅:JR武蔵野線・京浜東北線南浦和駅 南浦和駅より徒歩:27分 南浦和駅東口発バス:円正寺バス停下車徒歩1分 |
定休日 | 金曜日 |
営業時間 | 15:00〜22:15 |
神奈川の隠れた銭湯について
2023年4月時点のデータでは、横浜市と川崎市に銭湯が集中して残っています。横浜市で52軒、川崎市で35軒が営業していました。
横浜のレトロな銭湯である「太平館」・そして昔ながらの雰囲気を残す「吉の湯」をご紹介します。
太平館(たいへいかん)
横浜市港北区の銭湯「太平館」は、黒湯温泉と天然ラジウム温泉が特徴です。黒湯はナトリウム-炭酸水素塩冷鉱泉で「美肌の重曹泉」とも呼ばれています。非常に色が濃く、ブラックコーヒーのような漆黒の湯です。加温されて浴槽に提供され、熱めの湯と適温の湯に分かれた2つの黒湯の浴槽があります。
住所 | 神奈川県 横浜市 港北区大曽根1-25-2 |
アクセス | 東急東横線大倉山駅から徒歩約10分 |
定休日 | 月曜日, 金曜日 |
営業時間 | 15:30〜22:00 |
吉の湯(よしのゆ)
昔ながらの家並みに溶け込む「吉の湯」は、熱めの白湯が特徴の銭湯です。浅湯で約45℃、深湯では体感46℃以上にもなります。地元の人に長く愛されている、昔ながらの銭湯の良さが凝縮した空間です。
住所 | 神奈川県川崎市川崎区貝塚2-5-8 |
アクセス | 川崎新町駅から徒歩14分 |
定休日 | 土曜日 |
営業時間 | 14:40〜23:00 |
大阪の古い銭湯ランキング
銭湯王国大阪は長屋の件数が日本一多い土地でもあります。
袖すり合うも他生の縁が昔から当たり前に根づいている街です。
大阪には昔ながらの人情味のある銭湯がたくさんあります。
2024年(令和6年)3月末時点の厚生労働省のデータでは、全国の一般公衆浴場2,847軒中、大阪の一般公衆浴場数は287軒でした。
最盛期の2,400軒から約87%減ですが、大阪には今でも銭湯文化が根強く残っているといえます。
昔ながらの大阪の銭湯を紹介するにあたって、おすすめなど選べないので創業念が古い銭湯に敬意を払って名前を挙げてみることにしました。
既に廃業している銭湯もあります。
銭湯の建造物として初めて登録有形文化財となった源ケ橋温泉も2019年に廃業しました。
題して、「歴史を感じる大阪の昔ながらの銭湯ランキング10!」
銭湯名 | 創業年 |
♨源ヶ橋温泉 | 大正13年(1924年) |
♨寿温泉 | 大正時代(1920年代) |
♨寺島温泉 | 大正14年(1925年) |
♨新町温泉 | 大正12年(1923年) |
♨神徳温泉 | 昭和初期 |
♨昭和湯 | 昭和4年(1929年) |
♨初音温泉 | 昭和8年(1933年) |
♨大正湯 | 創業年不明 |
♨敷津温泉 | 明治創業か |
♨新世界ラジウム温泉 | 明治45年(1912年)か |
日本全国の銭湯の探し方
こうしてみてきますと、廃れつつあるとはいえ、昔ながらの風情をのこす銭湯文化が営々と受け継がれていることがわかります。
それでは、「よしっ!銭湯行ってみよう」という気になったときに、「ご近所銭湯」、「旅先銭湯」どちらも手軽に探せる方法をご紹介しましょう。
各都道府県の浴場組合サイトで探す
一番信頼がおけるのが各都道府県の浴場組合サイトです。
45都道府県の浴場組合が加盟する全国公衆浴場業生活衛生同業組合連合会(全浴連)という団体があります。
公式サイトから各都道府県の組合サイトへリンクが貼られています。
①全浴連のサイトへ進む
②上部のメニューバーから「加盟組合一覧」をクリック
③目的の都道府県の組合をクリック
④リンク先に各銭湯の詳しい紹介がある
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昔ながらの銭湯文化を未来へつなぐ
はだかの付き合いという言葉があります、ありました。
日本がまだ貧しくても豊かだったころ、昔ながらの銭湯が育んだ人間関係です。
宮造り建築や富士山のペンキ絵に彩られた空間の美しさ、受け継がれてきた慣習。昔ながらの銭湯には、失うにはあまりに惜しい日本独特の文化が凝縮されています。
ご近所の銭湯へ出かけてみませんか。
また、見知らぬ土地の銭湯もいいものです。
ネットで全浴連・Googleマップ・銭湯アプリ・専門のWEBサイトといった現代の機器を駆使して、レトロな銭湯を探してみてください。