こんにちは、コテツです。
指宿の砂蒸し温泉に行かれた方はかなりの温泉好きと拝察いたします。
聞いたことあるけど行ったことないよという方、あなたのためにこの記事を書きました。
鹿児島まで足を延ばす機会があれば、さらに足をちょっとだけ延ばして薩摩半島最南端、開聞岳の麓に広がる温泉地指宿をお訪ねになることをおすすめします。
日本屈指の景観もさることながら、砂浜に体をうずめていつの間にかぐっすり眠ってしまう砂蒸し温泉は天然のサウナです。
医学的にも検証されている砂蒸し温泉の効能を詳しくご紹介します。
指宿の砂蒸し温泉とは?

指宿の砂蒸し温泉は、海岸から湧き出る温泉水で温められた砂に身体をうずめるユニークな温泉です。
温かい砂に包まれることで、心地よい温熱効果が得られ、リラックス効果が高まります。
指宿の砂蒸し温泉は、ただの温泉ではなく、心と体を癒す特別な場所です。
指宿市によると、砂蒸し温泉の利用客は年間で計30万人以上にのぼるとされています。
砂蒸し温泉の歴史と文化的背景
砂蒸し温泉の歴史は古く、指宿地域の人々にとっては伝統的な療法として親しまれてきました。
歴史をさかのぼると、16世紀の海外の報告書に、砂蒸し温泉に関する記述が残されています。
1547年、ポルトガル商人のジョルジュ・アルヴァレスが、イエズス会の創設者フランシスコ・ザビエルに宛てた「日本報告」という書簡です。
アルヴァレスが、鹿児島県の山川港周辺で人々が砂むし温泉を楽しむ様子を目撃したとされています。
「潮が引いている朝方、あなたが一パルモ(約22㎝)掘れば、生温かい湯を感ずることであろう。そこに年寄りらが穴を掘り,朝夕,日の出や日没の潮が満ちてくるとき二時間ほど身体を横にして入浴している。」(※「あなた」とはザビエルを指す)「指宿まるごと博物館」より |
さらに、17世紀後半の元禄年間、特に元禄16年(1704年)ごろには、指宿ですでに砂むし湯治が行われていたことが確認されています。
歴史的な文献「三国名勝図会(さんごくめいしょうずえ)」でも、砂蒸しの効能は明らかです。
「三国名勝図会」は天保14年(1843年)に薩摩藩によって編集された全60巻の地誌です。
当時の薩摩藩領内の歴史・地理・経済などを知る貴重な学術資料となっています。
戦後の温泉観光ブームを経て、砂むし温泉は指宿の観光の目玉となりました。
現在もその自然療法としての効能が見直され、利用者が絶えません。
砂蒸し温泉の特徴と他の温泉との違い
砂蒸し温泉は、一般的な温泉とは異なります。
砂蒸し温泉は、温泉で温められた砂に体をうずめて発汗とデトックスを促す入浴法です。
砂にうまることで体温が上昇し、発汗を促します。
一般的な湯船につかる温泉と異なり、砂の重みによる加圧と、砂から伝わる温熱によって、血行促進や発汗作用を促すことが最大の特徴です。
また、砂の温度が55℃前後と高温ながら、深部体温の上昇が穏やかで、頭部を外気にさらすため過呼吸のリスクが低いという科学的なメリットもあります。
指宿周辺の観光スポットとアクセス方法
指宿には、砂蒸し温泉以外にも多くの観光スポットがあります。
雄大な開聞岳をはじめ、神秘的な絶景が望めるヘルシーランドたまて箱温泉・市街が一望できる桜の名所魚見岳・指宿市考古博物館「時遊館COCCOはしむれ」・干潮時にしか渡れない知林ヶ島などが有名です。
その他、特産品が揃う道の駅いぶすきや、巨大ウナギ「イッシー」が生息しているといわれる池田湖も人気の観光スポットです。
指宿への一般的なアクセス方法をご紹介しましょう。
鹿児島空港からバスを利用する場合は、直接指宿へ行く方法と鹿児島中央駅を経由する方法があります。
〈鹿児島空港〉→空港連絡バス→〈指宿駅〉 (1h15) |
〈鹿児島空港〉→空港連絡バス→〈鹿児島中央駅〉→ (1h) 鹿児島交通バス→〈指宿駅〉 (1h20) |
鉄道を利用する場合は博多駅から新幹線で鹿児島中央駅へ向かいます。
〈博多駅〉→九州新幹線→〈鹿児島中央駅〉→ (1h19) JR指宿枕崎線→〈指宿駅〉 (1h) |
検証されている砂蒸し温泉の健康効果

砂蒸し温泉は、健康効果が科学的に証明されているため、多くの人々に支持されています。
ここでは、その具体的な検証結果と効能について詳しく解説します。
鹿児島大学医学部による効能の検証
1985年に鹿児島大学医学部の田中信行教授らが実施した調査によると、砂むし温泉には以下のような医学的な有効性が確認されています。
▶調査項目
調査では、血圧・心拍数・心電図・血糖・呼吸機能など、計11項目にわたる詳細な測定が行われました。
▶調査結果の概要
普通温泉の3〜4倍の効果: 砂むし温泉の効果は、一般的な温泉の3〜4倍である。
血行促進と老廃物排出: 砂の重みによる圧力と温泉の熱によって血管が拡張され、血液の循環が促進される。これにより、体内の老廃物や炎症・痛みの原因物質が排出される効果が期待できる。わずか10分程度の入浴で、血液が鮮やかな赤色に変化したとの報告もある。
心拍出量の増加: 砂に埋もれることで全身に圧力がかかるため、血液が心臓に戻りやすくなり、心臓から送り出される血液の量が増加する。
深部体温の上昇: 砂むしに入ると、体の深部の体温が上昇することが確認されている。
▶具体的な効能
上記の調査結果に基づき、以下の症状に対する有効性が示唆されています。
・神経痛
・リウマチ
・腰痛
・肩や膝の関節痛
・骨折
・脳卒中後の麻痺
・むち打ち
・冷え性
・更年期障害
この調査は、砂むし温泉が古くから湯治に利用されてきた効用を医学的に裏付けるものとなりました。
筑波大学・鹿屋体育大学共同の効果検証
2025年には、筑波大学や鹿屋体育大学などが参加して、健康な成人男性を対象に砂むし温泉・温浴・サウナを比較する検証試験が行われました。
その結果、砂むし温泉は、温浴やサウナと同程度の血圧低下効果を持つ可能性がある一方で、深部体温の上昇が小さく息苦しさや失神のリスクが低いと報告しています。
具体的な研究のポイントは次のとおりです。
血圧低下効果:温浴やサウナと同様に、入浴後に血圧を下げる効果が確認された。
体への負担:サウナや温浴に比べて深部体温の上昇幅が小さく、息苦しさを感じにくいことがわかった。
安全性の高さ:砂の重みによる胸部圧迫で過呼吸が起こりにくく、脳への血流低下による失神のリスクが低いと考えられている。
つまり、「より安全に血圧低下の効果が得られた」「ストレスが少ないまま入浴して、ほかの2つの方法(サウナ・温浴)と同じような効果を得られる入浴方法」と評価されています。
九州で効能豊かな独特の温泉といえば、別府明礬温泉があります。
温泉で採取された湯の花を使えば自宅でも温泉気分です。
【関連記事:本物の温泉を入浴剤で楽しむ!イチ押しの別府明礬温泉湯の花の効能は科学的に証明されている】
指宿砂むし温泉の利用方法と訪問時期

実際に、指宿の砂蒸し温泉を利用する際の流れ・最適な訪問時期について解説します。
初めての方でも安心して楽しめるよう、具体的な手順を紹介しますので、参考になさってください。
砂蒸し温泉の入り方・体験の流れ
砂蒸し温泉を体験する際は、受付から入浴、そして入浴後までいくつかのステップがあります。
一般的な体験の流れは以下の通りです。
1. 受付
・受付で利用料金を支払い、専用の浴衣とタオルを受け取る
・事前に水分補給をしておく(砂蒸しは大量の汗をかくため、入浴前後の水分補給が大事)
2. 着替え
・脱衣所へ行き、浴衣に着替える(下着はつけず、裸の上に浴衣を羽織るのが一般的)
・貴重品・アクセサリー・眼鏡などは外し、ロッカーに保管する
3. 砂場へ移動
・着替えを済ませたら、タオルを持って砂蒸し場へ移動する
4. 砂蒸し体験
・係員の指示に従い、砂場で仰向けに寝転がる
・係員がスコップで温泉の熱で温められた砂を体にかけてくれる
・顔だけ出した状態で、全身が温かい砂に埋まる
・熱い場合は我慢せず、手や足を出したり、砂を少しずらしたりして調節する
・体験時間の目安はおよそ10〜15分
・汗が噴き出してくるのを感じたら、終了の合図
5. 砂を落とす
・砂蒸しから出たら、両腕を使ってお腹や胸の砂を払い、ゆっくりと起き上がる
・砂落とし場で浴衣を脱ぎ、シャワーで丁寧に砂を洗い流す
6. 温泉入浴
・砂を流し終えたら、併設されている温泉(大浴場)に入る
7. 湯上がり
・入浴後は、体を休めながら再び水分補給
以上が砂蒸し温泉の体験の流れです。
かいつまんでいうと、着替える→砂場で砂をかけてもらう→10~15分砂蒸し→砂を払う→シャワーで砂を洗い落とす→温泉に入る
寝てしまうと全く見えませんが、すぐ目の前は海です。
辺りからはもうもうと地熱の煙が立ち上っています。
そして秀峰開聞岳を望む壮大な景観の中で砂浜に横たわり大地の恵みを肌で感じるひととき。これぞ至福です。
砂蒸し温泉に最適な訪問時期
指宿の砂蒸し温泉を楽しむためには、訪問時期やマナーを理解しておくことも大切です。
砂蒸し温泉は、年間を通じて楽しむことができますが、春と秋が最適です。
特に天候が穏やかで、砂が温かい春(3月〜5月)や秋(9月〜11月)が良いでしょう。
もちろん夏の暑い時期や、砂が熱くなりすぎる場合、または冬の寒さが厳しい時期にも、屋根付きの砂むし場で体験することができます。
通年利用可能ですが、気候の良い時期を選ぶことで、より快適に砂蒸し温泉を楽しめるはずです。
おすすめの指宿砂蒸し温泉施設

指宿には多くの砂蒸し温泉施設がありますが、特におすすめの施設を紹介します。
料金プランをはじめとする施設情報・利用上の注意点など、お出かけの際はご参考になさってください。
砂蒸し温泉料金プランと施設情報
指宿の砂蒸し温泉の料金は、施設によって異なりますが、一般的には1,000円から2,000円程度です。
日帰り利用の施設のほかに、宿泊客限定のオプションとして利用できる宿泊施設もあります。
日帰り砂蒸し温泉
日帰りで利用できる代表的な施設は次の2か所です。
▶砂むし会館 砂楽(さらく)
〇料金(通常期)
砂むし入浴料:大人 1,500円、子ども(小学生以下)800円
温泉のみ:大人 800円、子ども 400円
※いずれも浴衣代込み
※ゴールデンウィーク・お盆・年末年始などの特別期間中は特別料金
〇所在地:〒891-0406 鹿児島県指宿市湯の浜5-25-18
電話番号:0993-23-3900
〇営業時間:8:30~21:00(最終受付は20:30)
※平日の12:00~13:00は清掃のため受付休止
〇定休日:7月と12月にメンテナンス休館日あり
〇アクセス:JR指宿駅から車で約3~5分、またはバスで「砂むし会館前」停留所
▶山川砂むし温泉「砂湯里」
〇料金:
砂むし入浴料:大人 1,100円、子ども(小学生以下)600円
浴場施設のみ:大人 200円、子ども 100円
※タオル類は別料金(持ち込み可)
〇所在地: 〒891-0511 鹿児島県指宿市山川福元3339−3
電話番号: 0993-35-2669
〇営業時間:8時30分~17時00分(最終受付 16:30)
〇定休日:水曜日(天候次第では臨時休業)
〇アクセス:「山川砂むし温泉入口」バス停で下車
湯治目的なら、安くて長期滞在できる宿泊先が必要です。
旅先で利用できる住まいのサブスクで探してみるもいいかもしれません。
【関連記事:「住居のサブスクは全国どこでも住み放題なのか?そういわれても全然イメージが湧かない」】
砂むし温泉付宿泊施設
一方、砂むし温泉付の宿泊施設は次の3軒です。
▶指宿白水館:館内に砂むし風呂があり、宿泊者も有料(1,540円)で利用できる
▶指宿シーサイドホテル:館内に砂むし風呂を宿泊者は別料金(1,500円)で利用できる
▶休暇村指宿:宿泊者は館内の砂むし風呂を別料金(大人: 1,400円・小学生: 700円)で利用できる
宿泊施設では、宿泊プランに砂蒸し温泉が含まれていることも多く、宿泊とセットでお得に楽しむことができます。
<<【じゃらん】国内25,000軒の宿をネットで予約OK!2%ポイント還元!>>
入浴の際のマナーと注意点
砂蒸し温泉を利用する際には、いくつかのマナーに気を配ることが大切です。
まず、浴衣を正しく着用し、メイクやアクセサリーを落としてから利用します。
周囲に注意を払い、騒いだり、他の人に砂をかけたりしないように気をつけましょう。
また砂蒸し温泉では、高血圧、心臓病、妊娠中の方、二日酔いの人は入浴できません。
入浴中に体調が悪くなったり、低温火傷の恐れがあると感じた場合は、すぐに砂を払い、砂かけ係の人に伝えましょう。
また、スマホやカメラの持ち込みは禁止です。
砂蒸しのために便利なアイテム
砂蒸し温泉を楽しむために持参すると良いアイテムをリストアップしました。
浴衣は施設で用意されています。
▶バスタオル・フェイスタオル(購入またはレンタルできる施設もある)
▶水分補給用の飲み物
▶自販機を利用する際の小銭
▶着替え
▶サンダル
指宿の砂蒸し温泉をもっと楽しむために

砂蒸し温泉を楽しむだけでなく、指宿の自然やアクティビティを活用することで、より充実した時間を過ごすことができます。
SNS映えする自然のアクティビティ
南国指宿では、錦江湾でのシーカヤックやシュノーケリング、池田湖でのカヌー、番所鼻自然公園でのSUPなどの水上アクティビティが楽しめます。
シーカヤック・シュノーケリング
錦江湾にシーカヤックで漕ぎ出し無人島の知林ヶ島を目指したり、初心者でも安心なシュノーケリングを体験したりできる
知林ヶ島
3月から10月にかけての大潮・中潮の干潮時だけ、対岸とつながる約800mの砂の道「ちりりんロード」が現れる無人島
カヌー・SUP
九州最大のカルデラ湖、池田湖でカヌーやSUP(スタンドアップパドル)が楽しめ、番所鼻自然公園では海SUP体験が可能
開聞岳登山
標高924mの美しい円錐形の火山で、「薩摩富士」とも呼ばれる
海抜0mから登り、山頂からは錦江湾や東シナ海の絶景を望める
かいもん山麓ふれあい公園
登山の拠点となる公園で、キャンプのほかにゴーカート・ミニゴルフなども楽しめる
フラワーパークかごしま
36.5ヘクタールの広大な敷地に約3,000種・40万本の植物が植栽された国内最大級の植物公園を楽しむ
タラソセラピーとの組み合わせ
指宿では、タラソセラピーと砂蒸し温泉を組み合わせたプランも人気です。
タラソテラピーが体験できる施設があり、砂むし温泉と組み合わせた独自のプログラムが提供されています。
たとえば砂むし温泉の体験施設である「砂楽」では、砂浴とタラソテラピーを同時に受けられるタラソ海藻パックが人気です。
砂に埋まることで得られる温熱効果とタラソテラピーの相乗効果を期待でき、全身の老廃物排出や血行促進に繋がると考えられています。
砂蒸し温泉は効能豊かで安全な天然サウナ

海岸線に湧き出る大地のエネルギーに包まれる指宿砂蒸し温泉。
砂蒸し温泉では、サウナとは異なる独自の体験をすることができます。
心身ともにリラックスできるだけではありません。
さまざまな研究機関によって多様な健康効果が実証されている貴重な温泉です。
また、薩摩半島最南端に位置し、南国独特の自然に恵まれた指宿はアクティビティにもことかきません。
指宿砂蒸し温泉は、一人旅でも家族旅行でも、人生で一度は訪れてみる価値があります。