こんにちは、海外ミステリーファンのコテツです。

Huluで配信中の「シスター探偵ボニファス(原題:Sister Boniface Mysteries)」は、「ブラウン神父」のスピンオフ。BBCの長寿番組「ブラウン神父」に対してシスターを探偵役にしたコージー・ミステリーです。本国イギリスでは次々にシーズンを更新しています。

このまま「シスター探偵ボニファス」は「ブラウン神父」に続く人気シリーズとして定着していくのでしょうか。

「シスター探偵ボニファス」のあらまし、クリエイター故ジュード・ティンダルそして個性的なキャストの魅力をご紹介します。

「シスター探偵ボニファス」とは?作品のあらまし

(デイヴィッド・ストウェル / ザ・ベイカーズ・アームズ、ブロード・カムデン)

「シスター探偵ボニファス」は、コメディ要素を取り入れた英国のコージーミステリーです。

コージーミステリーとは、素人が探偵役となり、田舎町や限定されたコミュニティで起きる事件を解決する、暴力・性描写が少ない居心地の良い(cozy)推理ドラマを意味しています。

「シスター探偵ボニファス」は、ドキドキハラハラを抑えてゆったり楽しめる典型的な癒し系コージーミステリーです。

「シスター探偵ボニファス」の舞台

「シスター探偵ボニファス」の舞台は、1950年代から60年代の英国、コッツウォルズ地方にある架空の村「グレートスローター(Great Slaughter)」です。

主人公のシスター・ボニファスはグレートスローターにある聖ヴィンセント修道院に所属しています。

シスター・ボニファスは法医学の博士号を持つ天才です。修道院で製造するワイン造りの達人である一方、警察の「科学捜査アドバイザー」として大活躍します。

「シスター探偵ボニファス」のロケ地

「シスター探偵ボニファス」の主なロケ地は、物語の舞台である1960年代のイングランドの雰囲気をもつ、イギリスのコッツウォルズ周辺やウスターシャー州です。

▶聖ビンセント修道院(St Vincent’s Convent):ウォリックシャー州にあるカトリック系学校プリンスソープ・カレッジ (Princethorpe College)がボニファスが暮らす修道院の外観や一部内装として使われている

▶グレート・スローター村(Great Slaughter):劇中の舞台となる架空の村だが、グイティング・パワー(Guiting Power)などのコッツウォルズの村々でロケが行われている

▶村の集会場:グロスターシャー州のグレート・バリントン(Great Barrington)にある村役場が使用されている

▶パブ「スピットファイア」:ブロード・カムデンにあるパブ「Bakers Arms」がロケ地

▶ドニントン蒸留所(Donnington Brewery):シーズン2の第8話に登場する無線局のロケ地

▶ブロードウェイ・タワー(Broadway Tower):コッツウォルズのランドマークとして撮影に使われている

「シスター探偵ボニファス」の制作情報

「シスター探偵ボニファス」の制作情報です。

2026年2月現在、シーズン4までが公開されています。シーズン4撮影開始時に、シリーズのクリエイターであるジュード・ティンダル(Jude Tindall)さんが逝去され、シーズン5への更新はいまだ明らかになっていません。

ティンダルさんはイギリスを代表するショーランナーです。「ブラウン神父」そして「シェイクスピア&ハサウェイ:私立探偵」(原題:Shakespeare & Hathaway: Private Investigators)のクリエーターでもありました。彼女の脚本は筋立ての面白さはもちろん、人間ドラマとしての温かさに満ちています。

大黒柱を失った後、「シスター探偵ボニファス」は更新されるのかまだわかりません。ただ、同じ理由で存続が危ぶまれた「シェイクスピア&ハサウェイ:私立探偵」は更新しています。続報を待ちたいです。

▶制作会社: BBC Studios Drama Productions

▶共同制作: BritBox International(海外ストリーミング大手)およびUKTV

▶製作総指揮: ニール・アーバイン(BBC Studios)、スティーブン・ナイ&ロバート・シールドハウス(BritBox International)、クレア・フックウェイ(UKTV)

▶シリーズ構成/クリエイター: ジュード・ティンダル(Jude Tindall)

▶配給: BBC Studios

▶主な監督: イアン・バーバー(Ian Barber)、ポール・ギブソン(Paul Gibson)、ジョン・メイデンズ(John Maidens)、マーリン・ライス(Merlyn Rice)などが参加

▶脚本: クリエイターのジュード・ティンダル(Jude Tindall)が主導

「シスター探偵ボニファス」の生みの親ジュード・ティンダル

ジュード・ティンダル(Jude Tindall)の本名はJudith Mary Tompkinsonです。10代のころにConvent of the Sacred Heart in Woldingham, Surrey(ウォルディンガムの聖心修道院学校、現在はWoldingham Schoolとして知られるカトリック女子寄宿学校)で寄宿生活を送っていました。修道院学校での経験が、Sister Bonifaceというキャラクターの着想に繋がったとされています。

また、インタビューによると、家族に多くの修道女や司祭がいて(「more nuns and priests in my family than you can shake a stick at」)、一人の叔母は実際に修道女で、作品の宗教描写の正確性を確かめるコンサルタントとして関わっていたそうです。

「シスター探偵ボニファス」や「ブラウン神父」の温かみのあるエピソードは、このようなIrish Catholicのバックグラウンドと深い信仰が根底にあるからこそ生まれたのでしょう。

脚本家のドミニク・モロニーさんがジュード・ティンダルさんを偲ぶ追悼文を寄せています。ティンダルさんの人柄が伝わってくる文章です。リンクを貼っておきますね。

(https://writersguild.org.uk/jude-tindall-1964-2024/)

「シスター探偵ボニファス」キャスト紹介

[著者はNewton2です( Yummifruitbatによって切り取られました), CC BY 2.5 https://creativecommons.org/licenses/by/2.5, via Wikimedia Commons]

ここからは、コテツの主観をまじえて「シスター探偵ボニファス」に登場する主なキャラクターそして演じる役者さんの魅力をときあかしていきます。

☆シスター・ボニファス:ローナ・ワトソン(Lorna Watson)

【役柄】主人公シスター・ボニファス(本名ペネロピ・ボナム=クレーン)は、 聖ヴィンセント修道院のシスター。無神論者の家庭で育ち幼少期から博学な父親とチェスを楽しみ、高い知性を養う。IQ156という驚異的な知能指数の持ち主。

ケンブリッジ大学で生化学のダブル・ファースト(首席クラスのダブル名誉学位)、さらに法医学のPhD(博士号)を取得。大学時代はチェスチャンピオンに3度輝く。

ケンブリッジ卒業後、ブレッチリー・パークでコードブレーカー(暗号解読者)として勤務。ドイツ語を習得し、爆発物処理の知識も身につける。戦後、MI5(英国保安部)からのオファーを断って修道院に入る。

修道院ではワイン造りを担当しアガサ・クリスティの愛読者でもある。その高度な専門性を生かし最新の科学捜査手法(指紋、血液型分析など)を駆使して独自のラボで証拠を鑑定する。地元警察の科学捜査アドバイザーそして名探偵!移動にはサイドカー付ベスパを愛用。

シスター・ボニファスのお父さんはケンブリッジの教授だが無神論者の設定。天才として同じケンブリッジで学んだ娘が、なぜ学究の道を歩まず修道院へ入ったのか?
自らの才能を活かしながら信仰を守る生き方は、「シスター探偵ボニファス」の生みの親であるクリエイター、ジュード・ティンダル(Jude Tindall)さんと重なると思う。Sister Bonifaceというキャラクター自体が、彼女の元教師(元RAFの女性軍医で後にカトリック修道女になった実在の人物)をモデルにしているそうだよ。

【プロフィール】ローナ・ワトソン(Lorna Watson): 1977年生まれ。英国のコメディアン・女優・作家。イングリッド・オリバーとのコンビによる自身の冠番組「Watson & Oliver」が2012年からBBCで放送され、イギリス国内での認知度を高めた。2013年に「ブラウン神父」にゲスト出演した際のキャラクターが人気を博し、本作が制作される。子供向け番組「Spy School」の司会や、「Great British Bake Off」の特別番組への参加など守備範囲が広い。2024年には絵本『Rabbit on the Rampage』を出版し、作家デビューも果たしている。

「Watson & Oliver」は今でもYou Tubuで見ることができます。昔ながらのイギリスのお笑いです。ローナ・ワトソンさんの相棒、イングリッド・オリバーさん、「ん?」どこかで見たことがあると思ったら、ドクター・フーのオズグッドだ!今や二人とも押しも押されもせぬ演技派女優!どちらもコメディアン独特の間合いが演技に生きてるよ〜。

☆サム・ギレスピー警部:マックス・ブラウン(Max Brown)

【役柄】サム・ギレスピー警部 (DI Sam Gillespie)はグレート・スローター署の警部。ボニファスの能力を信頼し、共に捜査にあたる。ボニファスが「シャーロック・ホームズ」なら、彼は「レストレード警部」のような役割を担っていると評されている。

サム・ギレスピーは、警察官になる前にイギリス陸軍の将校として第二次世界大戦に従軍した経歴をもつ。 

1940年にサンドハースト王立陸軍士官学校で訓練を受け、サフォーク連隊第1大隊の少尉となる。1944年6月6日のノルマンディー上陸作戦(D-Day)に参加し、ソード・ビーチに上陸した際、左肩に銃剣による負傷を負った。

終戦間際の1945年4月頃、ブレーメン近郊でドイツ兵を射殺したが、相手が少年であったことを知り、この経験が彼の心に深い傷を残している。

戦後、警察の道に進み、1958年10月28日に警部(DI)に昇進した。グレート・スローターに移ってからは、地元の郵便局長であるクラム夫人の家に下宿している。

イギリスの伝統的イケメンで三つ揃いのスーツがよく似合うサム。いつもニコニコ、決して威張らずシスター・ボニファスを全面的に頼っている。ときどき夢想の世界へ入るシスター・ボニファスを現実に引き戻す、ボケとツッコミの間柄。

【プロフィール】マックス・ブラウン(Max Brown) : 1981年生まれ、英ヨークシャー出身。2001年にドラマ『Grange Hill』でデビューして以来、端正な容姿と確かな演技力で人気を博し、歴史ドラマからスリラーまで幅広いジャンルで活躍している。ドラマ『THE TUDORS〜背徳の王冠〜』(エドワード・シーモア役)で国際的に知られるようになり、その後米国のドラマ『ビューティ&ビースト/美女と野獣』にもレギュラー出演。「ダウントン・アビー」 (2019年映画版)で国王の侍従リチャード・エリス役を演じ、トーマス・バロウとのロマンスが話題となった。

マックス・ブラウンさんは「王子さま」がはまり役だと思うけれど、ただの王子ではない。苦労知らずの長男の跡継ぎ王子ではなく、次男三男。爽やかな笑顔で相手の懐にスーッと入っていく度胸をもっている。「シスター探偵ボニファス」でコミカルな役柄を大真面目に演じているのを見ても器用な役者さんだなあと思う。

☆フェリックス・リヴィングストン部長刑事:ジェリー・イウ(Jerry Iwu)

【役柄】フェリックス・リヴィングストン部長刑事(DS Felix Livingstone)はバーミューダ警察(Bermuda Police Force)から英国のグレート・スローター村警察へ派遣(セカンドメント)された刑事部長(Detective Sergeant / DS)。バーミューダのハミルトン出身。父は国会議員。バミューダにはヴィクトリアという婚約者がいる。

本来はロンドン警視庁(スコットランドヤード)に赴任する予定であったが、手違いにより、1960年代の田舎町であるグレート・スローターの警察署に配属された。当初はエリート志向の強い堅物の警察官だったが、シスター・ボニファスを中心にしたチームの絆を深めていく。サムと共にクラム夫人の下宿に住んでいる。

現代的で合理的な考え方をするフェリックス。当初の赴任先スコットランドヤードへの転属を願っていたのに、いつの間にかグレートスローターに馴染んでいく様子が、素人臭さがあって新鮮。どちらかというと緩めのサムに対して規律第一のフェリックスは、上司と部下というよりいいコンビ。

【プロフィール】ジェリー・イウ(Jerry Iwu):ナイジェリアで生まれ、生後間もなく家族でアイルランドへ移住。ロイヤル・セントラル・スクール・オブ・スピーチ&ドラマ(Royal Central School of Speech & Drama)で演技を学び、2020年に卒業。「シスター探偵ボニファス」で、初のテレビシリーズレギュラー役を射止めた。音楽制作やポエトリー・ラップも手掛けており、アーティスト名「Blacklily」として活動している。

フェリックス・リヴィングストン部長刑事の彼とアーティスト「Blacklily」のギャップがおもしろい。刑事としてのいかにも新人っぽいぎこちなさが100%演技だとしたら素晴らしい!フェリックスのキャラクターを作ったジュード・ティンダルさんの手腕に脱帽。

☆ペギー・ボタン巡査:アミ・メトカルフ(Ami Metcalf)

【役柄】ペギー・ボタン巡査(WPC Peggy Button)は、グレート・スローター警察初の女性警察官。明るく誠実な人柄。グレート・スローターの精肉店を営むボタン家の娘でもある。地元の事情に通じており、町の人々に寄り添う温かい気持ちで捜査にあたっている。シスター・ボニファスを尊敬し、あらゆる手助けを惜しまない。

回を追うごとに存在感を増しているペギー・ボタン巡査。いつも明るく思いやりのあるキャラクター。地元出身ならではの知識が事件解決につながることも多い。唯一の女性警察官だが、気負ったり我を張ったりすることがない。色でいえばさわやかで暖かめのレモン色。目立たないが万人受けする。ジュード・ティンダルさんの配役の妙だと思う。

【プロフィール】アミ・メトカルフ(Ami Metcalf):1994年生まれ。アミ・メトカルフさんは、イギリスを代表する若手実力派女優。

2010年にBBCの人気医療ドラマ『Doctors』でサファイア・コックスという薬物依存症の少女役を演じ、15歳にして英国ソープ賞(British Soap Awards)の「最優秀若手俳優賞」を受賞。

2012年のドラマ『Walking and Talking』では、英国の国民的コメディエンヌ、キャシー・バークを演じる役に抜擢される。キャシー・バークは彼女を「a little smasher(素晴らしい逸材)」と絶賛。ハリウッドの大作にも出演し映画や舞台でも活躍している。

シェークスピアの国では、こんな才能が国中のあちこちでさりげなく育つ。大英帝国は凋落の一途だけれど演劇の世界では頂点に立ち続ける。彼女の演技は、「シーン・スティーラー(主役を食うほどの存在感)」と評されているそうだよ。

シスター探偵ボニファスはブラウン神父を継いでいく!

「シスター探偵ボニファス」は「ブラウン神父」同様の人気番組です。シーズン4が終わった時点で更新情報は出ていません。「ブラウン神父」も手掛けた名クリエーターのジュード・ティンダルさんが逝去されたことは大きな痛手です。存続が危ぶまれているのもうなずけます。

「シスター探偵ボニファス」でジュード・ティンダルさんが作り上げた個性的なキャラクターは「ブラウン神父」に決して引けを取りません。さらにボニファスを演じるローナ・ワトソンさんをはじめとするキャストの演技力がドラマの魅力を確かなものにしています。

願わくば、その世界観を引き継ぐ有能なクリエイターが現れますように。

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人生は仮の宿り。持たない暮らしを追い求めて今はやりのサブスクリプションサービスを徹底調査しています。サブスクのメリットもデメリットも本音で語りたいコテツです。